取扱鋼材
STEEL MATERIALS
SKD11は冷間金型用の合金工具鋼のうち、SKD1と同様、常温での耐摩耗性に特に優れた鋼材です。 窒化処理によっても高い硬度を得られることが知られています。高クロム、高炭素鋼で、ゲージやプレス型に利用されます。研削や研磨などの加工はダイヤモンドではなく、cBNで行うほうが効果的です。
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SKD11は冷間金型用の合金工具鋼のうち、耐摩耗性とともに不変形性に優れた高炭素、高クロム鋼で、常温での耐摩耗性に特に優れています。 SKD材は別名ダイス鋼とも言われるとおり、線引ダイスのほか、各種抜き型に利用されます。ただ加工しにくく、焼入れ温度が高い材料でもあります。 焼入れ以後は、不変形性に優れたSKS3よりもさらに優れ、低い膨張に抑えることができますので、ゲージ等での利用もあります。
C | 1.40 ~1.60 |
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Si | 0.40以下 |
Mn | 0.60以下 |
P | 0.030以下 |
S | 0.030以下 |
Cr | 11.00 ~13.00 |
Mo | 0.80 ~1.20 |
V | 0.20 ~0.50 |
JISではSKSが5鋼種、SKDが5鋼種からなります。 その内、冷間金型用鋼の標準的な鋼種として、11~13%のCrを添加し、硬いCr系炭化物を多量に晶出させ、耐摩耗性を良くしたSKD11があります。 炭素工具鋼は、0.55~1.5%の炭素を含有し、特別に合金元素を添加しない工具鋼ですが、水冷鋼であり、寸法が大きくなると芯部まで硬さが入らないことがあります。 SKD11の焼きなまし温度、焼きなまし硬度は下表の通りになります。
焼きなまし温度 | 830~880徐冷 |
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焼きなまし硬度 | 255以下 |
冷間工具は、被加工材の変形抵抗が大きく、強度や耐摩耗性が重視されます。 そのため、SKD11の屬する冷間工具鋼は、成分的に高炭素系となり、一次炭化物が多い材料が主体となります。一方、熱間工具は、被加工材が加熱され、変形抵抗が低くなるので強度要求は低いが、加熱・冷却のヒートサイクルを受けるので割れが発生し易い特徴を持ちます。 JIS規格上では合金工具鋼鋼材であり、SKで始まる記号は32種類とあります。 この32種類は用途別に大きく4つのグループ分け(※)がされており、そのうちの ”冷間金型用” として分類されている記号は10種類、SKD-11はそのグループの1種類になります。炭素工具鋼に高硬度、耐摩耗性を向上させた金型工具等の用途に使用する特殊鋼で用途範囲が広く汎用的に使用されます。ダイス鋼としては比較的入手しやすい材料です。製造メーカーにより独自の記号が使用されていますがSKD-11相当品と記述されている場合が多いようです。SLDは日立、DC11(大同)、QC11(山陽)、KD11(日本高周波)等の記号で流通しています。