取扱鋼材
STEEL MATERIALS
SUH660は、「JIS G 4311 耐熱鋼棒」に規定されているオーステナイト系耐熱鋼です。 比重は、7.8程度ですが、製鋼メーカーと需要家の間で決定することになっています。 海外規格としては、UNS規格でS66286相当になります。 また、海外では、通称”A286”と呼ばれ、多く流通しています。
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SUH660は、ニッケル(Ni)を24.00~27.00%、クロム(Cr)を13.50~16.00%、モリブデン(Mo)を1.00~1.50%、バナジウム(V)を1.10~1.50%含む耐熱鋼です。
C | 0.08以下 |
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Si | 1.00以下 |
Mn | 2.00以下 |
P | 0.040以下 |
S | 0.030以下 |
Ni | 24.00~27.00 |
Cr | 13.50~16.00 |
Mo | 1.00~1.50 |
V | 1.10~0.50 |
W |
SUH660の機械的性質は、固溶化処理後の時効処理状態で、硬度(HBW):248以上、耐力:590以上N/㎟、引張強さ:900以上N/㎟、伸び:15%以上、絞り:18%以上です。
耐力 N/mm2 | 590以上 |
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引張強さ N/mm2 | 900以上 |
伸び % | 15以上 |
硬さ(HBW) | 248以上 |
SUH660は、耐熱鋼に分類されますが、オーステナイト系ステンレスと同じような組織をしているので、加工性はオーステナイト系ステンレスに近しいものがあります。 しかしながら、オーステナイト系ステンレスの代表核であるSUS304(18Cr-8Ni)と比較すると、ニッケルとクロムの量が多く、モリブデンも添加されているため、切削性は劣るでしょう。 通常、固溶化熱処理後に時効処理を行い、硬度を高めて使用しますが、加工し辛い場合は焼きなましを施します。 SUH660の特性としては、その名の通り耐熱性があるのと同時に高温強度があります。 ステンレス鋼にも耐熱性がありますが、ステンレス鋼は耐食性、成形性、溶接性を重視するため、炭素量が少なくなっています。 その一方、耐熱鋼の場合、耐熱強度を高めるために炭素量が高く、その向上元素であるバナジウムなども添加されています。 ・耐酸化性向上 : クロムやシリコンの増量 ・高温強度向上 : 炭素、タングステン、バナジウム、コバルト等の増量又は添加