取扱鋼材

STEEL MATERIALS

ステンレス鋼

S31254

S31254とは、高耐食スーパーステンレス鋼です。 S31254は高クロム高モリブデンを含有する高耐食ステンレス鋼 で、高温海水のような苛酷な環境でも優れた耐食性を有し、環境によってはニッケル合金や純チタン に匹敵する耐食性を有する経済性の高いステンレス鋼です。

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用途

海洋施設、高濃度塩素イオン環境、樹脂製造装置、コンデンサーチューブetc

代表成分

S31254の属するスーパーステンレス鋼とは、通常のステンレスよりもさらに耐食性や耐熱性などを高めた高機能ステンレスを指します。 ステンレスの定義は、国際的にはクロムを10.5%以上、炭素を1.2%以下含む成分を持つ合金鋼となっていますが、この定義を満たした上での高性能を発揮するステンレスがスーパーステンレス鋼となります。S31254はクロム、モリブデン含有量が高いため、高濃度塩素環境において耐孔食性、耐すきま腐食性に非常に優れています。 ニッケル含有量が高いため、耐応力腐食割れ性にも優れています。

S31254 成分値

C 0.02
Si 0.8
Mn 1以下
P 0.03
S 1.01
Cr 19.5-20.5
N 0.18-0.22
Mo 6.0-6.5

機械的性質

S31254は優れた耐海水性を有し、海水中で使用可能です。 冷間加工によりHv500が得られ、また析出硬化熱処理でさらに硬度アップが可能です。透磁率は80%の冷間加工でもμ≦1.01と低位です。耐熱性はSUS310より良好でSUH660に近い特性を有します。 S31254の規格で定められた引張強度、耐力、硬度などの数値は下表の通りとなります。

S31254 機械的性質

耐力 N/mm2 300以上
引張強さ N/mm2 690以上
伸び % 35以上
硬さ(HBW) 183以下

加工性・特性

S31254は優れた強度と耐食性、特に塩化物環境下での耐食性、すき間腐食性を有していることから、化学プラントや海水機器等の幅広い用途で使用されています。 冷間および熱間加工はSUS 304、316等の標準オーステナイト系ステンレス鋼とほぼ同様ですが、冷間加工、熱間加工とも強度が高いことに対する留意が必要です。 溶接性溶接は、標準オーステナイト系ステンレス鋼と同様に被覆アーク溶接、TIG溶接およびプラズマ溶接が可能です。溶接材料はアロイ276を用いて下さい。 切削性高ニッケル含有ステンレス鋼の特徴として、切削性はオーステナイト系ステンレス鋼に比較して難しいといえますが、ニッケル基合金よりは容易です。 酸洗酸洗は、硝酸−弗酸の混酸を使用しますが、SUS304に比較して耐食性が高い分だけスケールは若干落ちにくいので、酸洗前に短時間のアルカリ浸漬を行うか、またもし可能ならばショットブラストをかけると非常に有効です。

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